知人を介して紹介を受けたのは、すでに資金繰りが限界に達しつつあり、後継者も存在せず「もって3年」と覚悟されていた小規模製造業者だった。当社は外部支援者の立場として、現状の正確な把握から関与を始めた。
北陸エリアに拠点を構える小規模の製造業者。長年にわたり一定の技術力を保有しながらも、自社の強みや市場における立ち位置を客観的に把握できておらず、慢性的な低単価取引に依存する経営構造に陥っていた。
資金繰りは残り1週間、後継者は不在、廃業まで残された時間はおよそ3年——という危機的状況。確かな技術力を持ちながら、適正な価格で評価されていないこと、また自社の強みが言語化されていないことが、構造的な利益不足の根本要因となっていた。
危機的状況下では、闇雲な営業活動ではなく「どこに、いくらで、誰を介して売るか」の精緻な設計が成否を分ける。市場分析と現状把握を並行で進めた上で、信頼を得るための基盤整備から着手し、適正価格による新規取引の獲得、既存取引の価格改定までを順序立てて実行した。
2週間をかけて、生産ライン・資金フロー・北陸および関西市場の動向を徹底的に分析。「何が作れて、誰にとって価値があり、いくらで売れるべきか」を構造的に再定義した。
訪問前の段階で確認される情報——ホームページ、Googleマップ登録、情報発信——を整備。「会ってもらえる前提」を、提案の前にすべて構築することで、商談の通過率を大幅に高めた。
既存ネットワークから相手のコスト構造を踏まえた提案で初期取引を確定。安定確認後、市場の原材料価格上昇を根拠に、既存取引先と段階的な単価改定交渉を実行した。
「1年で売上2倍」を契約上の目標として設定したが、初動の精度と打ち手の連鎖が想定を上回るスピードで成果を生み、結果として目標を大きく超える数字を半年で実現した。
生産プロセス・資金フロー・北陸/関西の市場動向を同時並行で分析。可能な領域と不可能な領域を明確化し、勝てる立ち位置を定義した。
事前確認情報を整え、最も縁の深い候補先へアプローチ。先方の困りごとと自社のコスト構造を踏まえた具体的提案を持ち込み、商談の場を翌日設定。
社長同席の場で製造能力を直接確認いただき、運用のすり合わせを実施。実質的に取引開始が確定。
製造から納品・着金まで完了。納品物への高い評価を獲得し、追加発注(単価4倍水準)が確定。同時に既存取引先への価格改定交渉を開始。
原材料価格上昇を根拠に既存取引先と順次価格改定を実施。最終的にほぼ全取引先の単価を2.5〜3倍水準まで引き上げ、目標を大幅に超える売上・利益を実現。
本件で起きたのは、単なる売上・利益の改善ではない。「この会社には継ぐ価値がある」と判断される構造そのものへの転換であり、廃業予定だった企業が次世代へと引き継がれるための土台づくりだった。
仕入先との関係性の見直し、製造プロセスの再設計、不良率の低減——これらの積み重ねによって、本来この会社が持っていた価値が、数字という形で可視化された。結果として、当初は誰も継ぐつもりがなかった事業に対し「これなら継ぎたい」と名乗りを上げる後継者が現れた。
会社を再生するとは、数字を改善することそのものではなく、関わる人々が未来を信じられる状態を、構造として作り出すことである——本件は、その原則を当社自身が深く確信する契機となった案件でもある。
営業組織の立て直し、事業再生、収益構造の再設計など、
現状をお聞かせいただいた上で、Lienでお力になれる領域を率直にご提案します。